【古賀敬之のゴルフあれこれ】  第十四回 「2サム」は1対1のマッチプレーのことで2人のラウンドではない


 すっかりこの言葉は日本のゴルフ場に定着してしまったが、本来の意味とは違った使い方をされている和製用語だ。実は「ツーサム」という言葉や競技方法は無い。あるのは「スリーサム」「フォーサム」の2つ。しかし、この場合の「スリー」や「フォー」は人数を表すものではなく、競技方法のことをいうもの。スリーサムは3人の競技者が1対2に分かれて争う変則マッチプレーで、2人の組はボールを交互に打って行く。フォーサムは2対2で争うもので、それぞれの組が1個のボールを交互に打ち合ってスコアを競う。この伝で行くと、ツーサムは1対1として成立しそうだが、実は、2人の場合はツーサムとはいわずシングルと呼ぶ。

 最近、日本では、恋人や夫婦、友人同士などが2人で回るゴルフ場が多くなり、頭数だけを数えて「ツーサム」だの「スリーサム」と言うようになった。本来、2人でのプレーならツーバッグが正しい言い方となる。バブル期までは、ゴルフ人口も多く、通常2人でラウンドすると割増料金を取られた。しかし、利用客が減ってきたことで「ツーサム保証」として追加料金割を取られず、さらに、他のお客さんと組み合わせされることも少なくなった。ちなみに、「ツーサム」の「-サム」は接尾辞の「-SOME」で、これが数詞に付いた場合は「~人組」を表す。

 お客の受け入れをするゴルフ場にとって、基本的なものを知らないプレーヤーには「ツーバッグ」という表現は〝1人で2つのバッグを持ってきてもOK〟という意味にも取られかねない。「―サム」の方が何となく「ゴルフ通だよ」とアピールできるカッコ良さもあって、ゴルフ場サイドの都合でいつのまにか定着したのだろう。でも、使い方は違う!

 

 ◇古賀 敬之(こが・たかゆき)
1975年、報知新聞社入社。運動部、野球部、出版部などに所属。運動部ではゴルフとウィンタースポーツを中心に取材。マスターズをはじめ男女、シニアの8大メジャーを取材。冬は、日本がノルディック複合の金メダルを獲得したリレハンメル五輪を取材した。出版部では「報知高校野球」「報知グラフ」編集長などを歴任。北海道生まれ、中央大卒。

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