日本選手よ なにやってんだ!! 世界は広く日本の試練は続く 武藤のコラム


 どこから手をつけたらいいのか迷うが、まずはニュージーランド。13日、最終日を迎えた豪州・ニュージーランドツアーの「ニュージーランド・オープン」は谷原秀人が1打リードで迎えた最終ホールをボギーとし、豪州のマシュー・グリフィンのバーディーに、あっという間に逆転負け。茫然とした。
 日本から15人が出場した日本ツアーとの”コラボ”大会はまるで日本ツアーの様相。ニュージーランドでは1972年、尾崎将司が新人時代、ニュージーランドプロ選手権に勝ち、1989年には豪州で青木功も優勝、日本勢にとっては久しぶりオーストラレージアツアー3勝目は目前だったが、最後の最後の逆転劇にシュンとなった。

 大会は97回を迎えたクラシック大会。ゴルフの盛んな英国圏とあって、リンクス風のたたずまいの丘陵地帯にあるリゾートコース。歴代優勝者には、全英オープン5勝のピーター・トムソンが9回、左利きの名手で全英にも優勝したニュージーランドのボブ・チャールスが4回も名を連ねていた。勝って欲しかった・・。
ゴルフに逆転劇はつきものだが、谷原には是が非でも。そんな歴史と伝統ある大会。何もここで“ゴルフにつきもののどんでん返し”をやることないじゃないかと愚痴も出るというものだ。
 谷原37歳。昨年は日本で11勝目を挙げ、ここの所パワーアップして好調。相手のグリフィンは自国ツアー、韓国で4勝の32歳。昨年、日本に参戦、シードを取ったばかりの新人だ。ここはおめでとうと言わねばならないが、逃した魚の大きさに谷原に代わって歯ぎしりしている。

女子ツアーも日本勢からまわり・・・

 そんな思いで見た開幕2戦目の日本女子ツアーも悔しい日本の敗戦にしおれた。「ヨコハマPRGAレディス」(11日~13日・土佐CC)は柏原明日架と飯島茜とイ・ボミの3人プレーオフで争われるとボミが4ホール目に4メートルを沈めて当たり前のように優勝、通算16勝目をあげた。

 32歳の飯島と20歳の柏原がともに4位から8アンダーの首位でホールアウト。渡辺綾香も最終ホールで2メートルを入れれば日本の3人娘?のうちだれかが優勝だ!といった雰囲気。だが、結局、いまが盛り、27歳のボミだった。 
 正規の18番はドライバーをミスし右ラフの前上がりからスライスをかけないとグリーンをとらえるのは難しいという“大ピンチ”からOKにつけるバーディーで追いつくと、プレーオフでもいつもの切れがないまま迎えた4ホール目の4メートル、絶秒のパットだけで勝った。
 キャリアとツキの(と言っていいだろう)勝ち方だった。先の18番はグリーン外のマウンドにキックした球が右へはねころがった2打目が1センチにつくバーディーだった。
 柏原などその2ホール目に40センチを外すなどもう、何やってんだ!と叫びたい心境。いや誰に?言うまでもないだろう。勝利の女神様に、だ。
 これで開幕戦のテレサ・ルーに次いで外人2連覇だ。ゴルフは強いものが勝つ、といった先人がいるが(いるわけない。パットにうまいものが勝つ、といった古言に習っただけだ)、日本の努力はいつ報われるのか、と不安になってくる。「人は敗れたゲームから教訓を学び取るものである」とボビー・ジョーンズはいい「私はこれまでに勝ったゲームから何ものも教えられたことはない」と言い切った。そう、日本は、もう少しの辛抱なのだろう、と思う。

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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