前回のレッスンで、飛ばない構えと飛ぶアドレスを学んだが、微妙な距離感は文字通り、感覚を磨いて身に着けるしかない。砂の取り方の違いを体感するために、岩垣プロは面白い練習方法を考え出した。野球のボールとピンポン球を取り出し、これをバンカーから実際に打ってみろという。
「野球のボールは大きくて重いですよね。大きくて重いものをバンカーから叩き出そうとすると、自然に取る砂の量は多くなります。逆に、ピンポン球は軽いので、砂の量は少なくなります」
実際にやってみると、野球ボールは見るからに大きく、とてもエクスプロージョンで出るとは思えない。そう思うだけで、スタンスは広く、ハンドダウンになる。覚悟を決めて上からドスンと打ち込むと、ボールは意外にすんなり出てくれる。今度はピンポン球。こちらは見るからに軽く、ピュッと飛んでいきそう。自然にスタンスは狭く、少しハンドアップな構えになる。打ってみると砂は薄く取れる。
「頭の中でボールの質量を変えると、砂の取り方が変わってきます。近い距離なら重いボールをイメージし、遠い場合は軽いと想像する。それだけで体の反応が違ってきます」。確かに、ボールが重いと思うだけでスタンスは広く、重心は下がって打ち込みやすくなり、軽いと想像するとスタンスは狭く、入射角は緩やかになる。どの程度かは練習でつかむしかないが、イメージから体の反応を変えられるということは、覚えておいていいだろう。(取材、構成・鈴木憲夫)=次回はアプローチ編〈1〉です=