公益社団法人日本プロゴルフ協会(PGA)の2013ティーチングプロアワードで、最優秀賞を受賞した岩垣貴栄プロ(35)のレッスンを、今週から2か月間、掲載します。自ら練習器具も考案した“理系ゴルファー”のレッスンは、精度を求める中・上級者にとって、とても参考になるはずです。PGAはティーチングプロ会員の資質向上のために、08年から毎年同アワードを開催。スポーツ報知では今後、受賞者のレッスンを定期的に掲載します。
岩垣プロが最優秀賞を受賞した講座のタイトルが「精度の高いショートゲームを求めて~技術を感性に伝える」。独自の練習器具を考案した点も評価された。パッティングからスタートだ。
「中・上級者でもパッティングの練習はおろそかになりがちです。ショートパットでリップ(カップをなめる)したり、ロングパットの距離感が合わないといったことはありませんか?」。岩垣プロによれば、どちらも理由は「ボールの転がりが悪い」こと。その原因は「パターの芯で打てていない」ことと「フェース面のコントロールができていない」ことだ。つまり、フェース面が軌道に対してスクエア(直角)で、かつ、芯で打てないと転がりは悪くなる。きれいな縦回転のボールは、カップの縁からストンと沈むが、回転がねじれたボールは、カップで蹴られる。距離も当然、合わない。「直角」と「芯」。さらにストロークの「真っすぐな軌道」の3つの要素を簡単に確認できるように、岩垣プロが海外メーカーと協力して考案したパッティング練習器具が「パターホイール」だ。
ボールを輪切りにして、幅約2センチの中心部分だけを残した形。芯で打てなかったり、フェース面がオープン(クローズ)だったりすると、蛇行してうまく転がらない。さらに、ストロークがインサイド・アウト(アウトサイド・イン)になると、ボールは右(左)にきれていく。打ってみると少し蛇行する。「鈴木さんは芯では打ててますが、フェースが若干、オープンですね」と岩垣プロ。悪癖がすぐにばれる。
このパターホイールの優れている点がもう一つ。アドレス時に目の真下からボールがずれると、断面の赤い色が見える。ボールが外に出ていると内側、中に入りすぎていると外側の赤色が目に入る。つまり、白一色に見えるポジションが、正しいボールの位置だ。これがビックリするほど、ずれている。記者の場合は、予想以上にボールが外に出ていた。もちろん、ずれていてもパットがうまいプロや上級者もいるが、「芯」「直角」「真っすぐな軌道」の3要素を正確に行うには、目の真下にボールがあるほうがやりやすい。「パターにはショットと同じ癖が出ます。ボールが遠い人は、プル系で打ち出しが左に行くプレーヤーが多いですね」。パターを構えただけで、岩垣プロにショットの癖まで見抜かれたのだった。(取材、構成・鈴木憲夫)=次回はパター編〈2〉=
◆パターホイール 問い合わせは、putterwheelthailand@hotmail.com まで。
◆岩垣 貴栄(いわがき・たかまさ)1979年10月1日、奈良県出身。35歳。明大理工学部卒業。PGAティーチングプロA級。ジュニア指導員。中学からバレーボールに励み、洛南高校時代は国体に出場。大学時代にゴルフに出会い、卒業後、プロゴルファーを目指す。理系ならではの視点から、精度が高く効率の良い動きを求めてレッスンに取り組んでいる。指導の拠点は大阪・奈良(阪奈カントリークラブ、スポーツヒルズ大阪など)。レッスンの問い合わせはスポーツヒルズ大阪TEL072・869・0171。