◆欧州男子(DPワールド)ツアー フランス・オープン 最終日(24日、ル・ゴルフ・ナショナル=7247ヤード、パー71)参加68人
ツアー本格参戦1年目の久常涼(SBSホールディングス)が、日本男子3人目の欧州制覇の快挙を成し遂げた。4打差5位スタートでショット、パットともにさえて7バーディー、2ボギーの66をマーク。通算14アンダーで初優勝を最終日逆転で飾った。
欧州男子ツアーでの日本人の優勝は1983年パナソニック欧州オープンの青木功(当時33)、2016年世界選手権シリーズ、HSBCチャンピオンズの松山英樹(当時24)に続く偉業で、21歳は最年少での達成となった。
得意のショットを武器に強気に攻め抜いた。久常はイーブンで最終日前半を折り返すとサンデーバックナインで爆発した。10番でバーディーを奪うと12番から2連続、15番でもバーディーを奪ってトップに立った。さらに終盤、ショットは切れを増して15番でピンそば3メートル、17番は2メートルにつけて後続と2打差に広げるバーディー。66、69、69、66と4日間60台を並べて、ツアー通算25戦目で初の栄冠を手にした。
来夏のパリ五輪開催コースで、一足早く頂点に立った。優勝賞金51万8780ユーロ(約8210万円)を手にし、笑顔で優勝トロフィーを掲げた。世界ランク166位から、自己最高の100位前後までの上昇も見込まれる。久常はこの日、リーダーボードを見ずにプレーしたことを明かし「結果にとらわれずに、バーディーを取ろうと自信を持って全ショット、フルスイングしようと決めていた。自分の順位も知りませんでしたし、勝てるとは思っていませんでした。ラッキーもあって、パットも入ってくれて初優勝できてとてもうれしいです。明日、日本に帰りますが、ビジネスクラスにアップグレードしようかな、わからないけど」と英語でインタビューに答えて満面の笑みを浮かべた。
高校3年生だった20年12月にプロ転向。21年は国内下部ABEMAツアーで3勝してレギュラーツアー出場権を獲得し、わずか7試合で賞金ランク50位に入って初シードをつかんだ。22年も賞金ランク24位で日本ツアーのシードを継続。昨年11月の欧州ツアー予選会を7位で突破し、今季出場権を獲得して主戦場を欧州に移していた。2019年にメジャー、全英女子オープンを制した渋野日向子の高校の後輩だった21歳の日本の若武者が、世界のゴルフ史に名を刻んだ。
◆久常 涼(ひさつね・りょう)2002年9月9日、岡山県生まれ。21歳。3歳でゴルフを始める。岡山・作陽高1年時に全国高校選手権優勝。2年時の2019年から2年間アマチュア日本代表でプレー。20年12月にプロ転向し、下部ツアー、ジャパンクリエイトチャレンジで初優勝。同ツアーで年間3勝し、レギュラーツアー出場権を獲得。7試合全て予選通過でシードを獲得。ドライバーの平均飛距離は300ヤード。175センチ、80キロ。
◆欧州男子(ワールドDP)ツアー 1972年に創設。欧州各国を中心に近年は中東やアフリカ、アジアなどでもツアーを開催。賞金や世界ランクの加算ポイントなども世界最高峰の米ツアーに次ぐ規模で、23年は4大メジャーや世界選手権シリーズを含めると計25か国で46大会を予定。日本人は19年から日本ツアー1勝の川村昌弘が本格参戦中で22年の日本ツアー賞金ランク1、2、3位の資格で今季出場権を得た比嘉一貴、星野陸也、岩崎亜久竜も参戦している。