多くのプロが「二度と経験したくない」というほど重圧がかかる、プロテストに一発合格。ツアー出場権を争う最終予選会もトップ通過。昨年、大事な局面で結果を残した藤田光里は“勝者のメンタリティー”を兼ね備えている。ゴルフで最も重要なメンタル面が、連載の最終回のテーマだ。
「ジュニア時代、メンタル面は強くなかった。というより、プロテスト2次があった昨年の春頃は、すごく弱かった。ゴルフ場に行きたくない、クラブを握りたくない、と思っていましたから。でも、メンタルの弱さを受け入れたら、逆にメンタルが強くなった気がします」
逆転の発想。これを機にメンタルが、大きく左右するパットが飛躍的に向上した。
「プロテスト2次の時はパットが一番、悪かったですね。5メートルのパットを2・5メートルもショートしていましたから。本当にゴルフをやめたいくらいに調子を落としたら、開き直って強めに打てるようになりました。今は、カップに届かなければ話にならない、という強気のパットを心掛けています。5メートルなら1メートルオーバーしてもいいくらいの気持ちです。すると、カップインする確率がすごく上がりました」
優勝争いなどシビれる場面では、いかに気持ちを整える?
「ひと言で言えば無心です。首位と何打差とかプレーに関係ないことを考えずに、目の前のショット、パットに集中する。それが大事だと思います」
ツアー本格参戦1年目ながら現在、賞金ランク25位と大健闘。しかし、決して満足していない。
「私は常に謙虚でありたい。ただ、謙虚さと消極性は違うと思っています。今の実力で出来ると思うことに積極的に挑戦していきたい。ツアーで勝つことも決して不可能ではないと思っているので、チャンスが来たら恐れずに戦いたい」
26日に20歳の誕生日を迎える。日本女子ツアーの“新星”は今後、さらに光り輝こうとしている。(取材・構成 竹内達朗)=終わり=
◆藤田 光里(ふじた・ひかり) 1994年9月26日、札幌市生まれ。19歳。シングルハンデの父・孝幸さん(61)の指導で3歳でゴルフを始める。北海道女子アマ5連覇。昨年3月、飛鳥未来高卒業。同8月、プロテストに一発合格。同年12月に新人戦加賀電子カップ優勝、さらにツアー出場権を争う最終予選会で1位となり、今季からツアー本格参戦。家族は父、母・美香さん(45)、妹・美里さん(18)、弟・亜久里君(16)。165センチ、56キロ。