たとえ残念な結果でも、それを糧に次のステップへ・・、今後の男子ツアー、若手の活躍が楽しみです。
全米オープン最終日、松山英樹のプレーを追いかけて6番ホールを歩いていると、背後から「岩崎さん!」と声をかけられた。声の主は薗田峻輔。初出場で予選落ちに終わったが、トップ選手のプレーを見るために居残っていたのだ。海外志向が強く、将来の目標は米ツアー本格参戦。予選ラウンドとは全く違う雰囲気を目の当たりにして「やっぱりすごい!」と目を輝かせていた。今大会では初日に78と出遅れたものの、2日目はティーショットが復調して73と意地を見せた。翌週に行われる日本ツアー「ハンダカップ」ではシュワーツェル、ポールターら今大会で決勝ラウンドに進んだ選手が多く出場する。「このワクワクした感じのまま大会に臨みたい。頑張りますよ」。
うれしいことは、もうひとつあった。3日目の昼過ぎ、松山のスタート前練習を見ようとドライビングレンジに行くと、川村昌弘の専属キャディーを務める小岸秀行氏がいた。川村も予選落ちだったが、出場選手と関係者は決勝ラウンドでインサイドロープの中に入れるという。「いろんな選手のプレーを見て参考にします。あまり飛ばない人を中心に付こうかと」。飛ばし屋ではない川村と同じ飛距離の選手のマネジメントを観察して、今後に生かすというのだ。川村自身も最終日にはコースに現れて優勝争いを観戦。スピースとD・ジョンソンのデッドヒートには興奮したはずだ。
今大会の日本人で予選を突破したのは松山だけだったが、薗田や川村のような若手が必死に何かを吸収しようとしている姿には心が打たれた。これぞプロ。男子ツアーの未来は、決して暗くはない。
◇岩崎 敦(いわさき・あつし)
千葉県生まれ。早大卒業後、94年に報知新聞社入社。内勤のレイアウト担当、サッカー担当などを経てゴルフ担当は2000~02年、07~10年、15年~の3回。マスターズなど米ツアーは20試合以上取材しているが、一度もタイガー・ウッズの優勝を見たことがない。