久しぶりのアマチュア大会取材で、うれしい再会をした。第57回日本女子アマチュア選手権が先月23~27日に北海道・札幌GC輪厚Cで行われた。国内女子ツアーの最年少優勝記録を持つ勝みなみ(17)=鹿児島高2年=が、プロツアーの難しい設定の中で磨いた、巧みなショートゲームを武器に初優勝。“20年東京五輪世代”の活躍にわいた会場で、約2年ぶりに懐かしい顔を見つけた。
小滝水音(みお、17)=茨城・明秀学園日立高2年=、父・賢太郎さん(40)親子だ。記者が担当となって、初のアマ大会取材だった13年8月の報知ジュニア中学生大会。身長167センチの小滝は、平均240ヤードの飛距離で女子の部で2年ぶり2度目の優勝を飾り、父子にじっくりと話を聞いた。
日本女子アマの大会初日。出場者の中に「小滝」の名前を見つけ、数ホールついて歩いた。北の大地の豊かな自然の中でも、そのダイナミックなスイングと、飛距離は相変わらずだった。そのルーツは国内48勝を誇る中嶋常幸(60)にある。
中学2年時に中嶋主催の「トミーアカデミー」の1期生に合格。家から車で約40分の茨城・静ヒルズCCに通って練習した。下半身トレーニングを教わったのが転機となった。「30秒かけてやるスクワット」などを毎日約1時間行い、下半身の筋肉が発達して「飛距離が伸びてスイング、ショットの精度に安定感が出た」と自信を手に入れた。
現在も年に数回、アカデミーの合宿に参加している。中嶋は今年の日本女子アマと同じ会場開催の男子ツアー、ANAオープンで計3勝を誇る。小滝は大会前「入念にパットの練習をしなさい」との助言を授かった。そのかいあって第2日はインから出て13番で8メートル、18番と4番で3メートルをねじ込んで伸ばして5バーディー、1ボギーの68。「パットが良かった」と通算6アンダーの2位で、3年連続の出場で初の決勝トーナメント(ベスト32)進出を果たした。
思えば報知ジュニアの東京よみうりCC、今大会の札幌GC輪厚Cとも戦略性に富んだ井上誠一設計のコースだった。「両方とも好きです。どこに打っていけばいいのかが、何となく合うのかもしれません。来年の(栃木)烏山城での日本女子オープンに出ることが今の目標なんです」と小滝は目を輝かせた。烏山城CCも井上設計コース。もし出場権を得られれば来秋、国内最高峰のメジャーで快進撃を見せてくれるかもしれない。
◇榎本 友一(えのもと・ともかず)
東京都生まれ。中大卒業後、サンケイスポーツ文化報道部を経て2003年に報知新聞社入社。箱根駅伝担当、北京五輪担当などを経て13年からゴルフ担当。男子ツアー初取材だった同年つるやオープンでは、尾崎将司のエージシュート&松山英樹のプロ初Vを目撃する強運男。