石川の粘り勝ち、タイガーの玉砕。そしてPGA伝説のプレーヤー、デービス・ラブ3世の史上3番目となる51歳の年長記録優勝・・。PGAツアーの最終戦、「ウインダム・チャンピオンシップ」は好ゲームだった。
米ツアー最終戦「ウインダム・チャンピオンシップ」はノースカロライナ州グリーンズボロのセッジフィールドCC(7127ヤード、パー70)で行われ、2位から出たタイガーは13アンダーの10位とスコアを伸ばせず今季のシーズンを終えた。優勝はシニア入りして2年目、51歳のデービス・ラブ3世(米)が64のベストスコアで大逆転、次週から始まる今季上位125人によるプレーオフシリーズに進出した。
PGAツアーで50歳以上の選手の優勝は限定的。そのベスト3に入る51歳10か月21日の年長優勝の快挙だった。地元出身のラブはこれまで20勝をあげた永久シード選手だが、実に7年ぶりの優勝で今大会3勝目、通算21勝目を挙げた。ツアープロから敏腕レッスンプロとして活躍した父のラブ2世は飛行機事故で死亡。ラブは苦難の道を歩みながら全米プロ、プレーヤー選手権2勝と常にツアーの中心で活躍、昨年からはシニアのチャンピオンツアーにも参戦している。
タイガー 30代最後の試合 痛かったトリプルボギー
ツアー2年ぶり優勝のかかったタイガーは今季最高の10位に入ったものの、奇跡は起こらなかった。11番でピンまで30ヤードのアプローチをトップして、奥からはショートする5オン2パットのトリプルボギーが痛かった。そのあと4バーディーで必死に追ったが、追いつかなかった。
1996年、8月に大学2年でプロ入り、8戦で2勝をあげシード入り。その翌年のマスターズ優勝から奇跡ともいえる活躍で79勝を積み重ねたが、ここ2年は膝の故障に泣き手術も受けた。39歳。30代最後の試合だった。
「来シーズンは開幕戦から出場する」“このままでは終われない”というゴルフへの意欲が出てきたことが、明るい話題だ。最悪の中の最良と言っていいかもしれない。今大会でも見られたが、好悪がはっきり分かれたプレーが悩みだ。ドライバーとショートアプローチが復活へのカギだ。
最後の大舞台「フェデックス・プレーオフ・シリーズ」
次週からはいよいよツアーナンバーワンを決める「フェデックス・プレーオフス・シリーズ」が始まる。「ザ・バークレー」から4戦目の「ツアーチャンピオンシップ」まで4戦。125人を1戦ごとに100人、70人、最後30人に絞って争う“生き残り戦”だ。 最終戦の優勝賞金が148万5000ドル(約18億4000万円)。トーナメントを勝ち抜き、最高峰にのぼりつめれば誰にも賞金王の道が約束される。石川遼も、今大会すべり込みで、オープンの出場を決めた。
今大会の石川はシーズン通してのポイントランクで130位。“フェデックス”に出場するための125位以内をクリアするためには上位食い込みがノルマだったが、この日、1イーグルを含む4バーディー、2ボギーの66、通算9アンダーの31位に食い込み、ランク124位。ぎりぎりで出場権をもぎ取った。
「現状のゴルフでやれることをしっかりやる。それだけに集中してやってきた」結果、トップ・プロとしてのぎりぎりの位置を獲得できた。15歳の鮮烈なデビュー、その後の順調な足取りは、目指すものが高くなるにつれ止まった。今大会が不調に終われば、来季は2部ツアーのウエブドットコムツアーでカムバックを目指すことまで考えた。まだ安心はできないが、究極のプレッシャーの中で生き残ったのは大きい。奇跡の復活劇を期待したい。
松山英樹は19位。世界で19番目のポイントを手に堂々の戦いを挑む。ウインダムでは今季2度目の予選落ちを喫したが、2アンダーとゴルフは悪くなかった。フェデックスポイント首位のスピース、2位ジェイソン・デイはじめ、マキロイ、ファウラー、ダスティン、ザックの“両ジョンソン”ら強豪との4週間は対等である。そう、このいつも同じ土俵でやってきたという自信がものをいう。まさに勝負所がやってきた。