岩田、日本の第3の男に、来季米ツアーシード権獲得 ―「日米を股にかけてがんばるぞ~」日本シリーズも参戦 武藤のコラム


 岩田寛(34)が米ツアー、2015―16シーズンのシード権を獲得、来季は主戦場を米ツアーに移し夢を追う。米下部ツアー、ウエブドットコムの最終戦「ウエブドットコム・ツアーチャンピオンシップ」最終日は5日、同シリーズ4戦の最終戦として米フロリダ州ポンテペドラビーチのTPCソーグラス・ダイズバレーコースで行われた。

 岩田は、通算6アンダーの18位となり来季のPGAツアーの出場権を獲得した。大会は米ツアーでシードを逃したポイントランキング126位以下の選手とツアー上位者の入れ替え戦。ポイント上位25人にシード権が与えられた。

 岩田は米ツアー出場ランクを12番目とし来季メジャーを除く大会にほぼ出場できる。米ツアーは2週後の15年10月15日から始まる「フライズドットコム」で開幕、日本からは松山英樹、石川遼に加え岩田寛の3人が出場する。

 

 今年8月の「長嶋茂雄招待セガサミーカップ」で最終日66のベストスコア、3位から逆転で日本ツアーの2勝目を飾り、賞金ランクの首位にたった。野球少年だった子供時代のヒーロー、長嶋さんからカップをもらった岩田。2年間のシード権を獲得すると一気にテンションが上がった。

 長年の夢、米ツアー参戦に向けて勢いを加速する。賞金トップ躍進には思わぬボーナスもついてきた。全米プロ選手権の出場だ。勇躍、参戦すると第2ラウンド、なんと9アンダー63、メジャー4大会で25人目の最少スコアの快挙。初日の77を大幅に上回っての決勝ラウンドでは2日間アンダーパーをマーク、通算3アンダー21位は松山の37位を上回る快挙となった。

 高額賞金のメジャーで9万ドル、約1170万円は日本のツアーの優勝賞金額。メジャーの賞金は日本ツアーの賞金ランクに加算されるから海外ツアー出場で日本を空けても賞金ランク上位を維持し、現在5730万円で2位、日本選手のトップにつけている。

 ウエブドットコム挑戦は夢に向かった米挑戦の最後の砦だった。失敗すればまた一から出直さなければならない。その第1戦、9月第1週の「ホテル・フィットネス・チャンピオンシップ」は堂々4位に入った。首位から5打差、14アンダーはアーノルド・パーマーの孫のサム・サンダースと並んだ。米ツアーの常連と有望なトップアマがひしめく激戦地で好スタートを切る。本当に力をつけていたのだ。そして迎えた最終の4戦目は2日目を終わってトップ10、優勝もあるかという存在感を見せたが3日目は74。一転ピンチも最終日に67、全く危なげなくシードを手にした。

 日本選手が初めて米ツアーのライセンスを獲得したのが1968年の杉本英世。その後、倉本昌弘、宮本勝昌らがQTを突破した。ウエブドットコムの賞金上位者とレギュラーツアーの126位以下の“カムバック組”との入れ替え戦となったのは昨年から。岩田は新制度による日本人初のクオリファイヤー(本選出場者)となったわけだ。

 30歳を過ぎて花開いた遅咲きだ。米挑戦の夢を抱き両親の前に手をつくと「アメリカに挑戦させてください」と言って驚かせたのも30歳の時、4年前だった。

 岩田はこの日、プレーヤーズカードを手に25人全員で記念撮影に収まり晴れてシード選手となった。「これからは米ツアー選手としてアメリカで頑張るが、日本でもできる限り戦うことは忘れない。日米を往復しながらやっていく」とカメラの前でVサイン。その後、日本に向かう機中に収まった。

 帰国してすぐには10月8日から茨城・石岡で「HONMA・TOURWORLD・CUP」に参戦、その後。米ツアーの開幕戦「フライズドットコム・オープン」からいよいよ夢の米ツアー。さらに日本にとって返して日本ツアーの「カシオワールドオープン」そしてシーズン最後のメジャー「ゴルフ日本シリーズJTカップ」出場を決めている。

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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