【古賀敬之のゴルフあれこれ】  第十九回 「ピッチング・サンド」はBSのウエッジの商品名だった


 「ピーエス」などと呼ばれるピッチング・ウエッジとサンド・ウエッジの中間的なウエッジを「ピッチング・サンド」などと呼んでいるが、これも和製英語。というより、ブリヂストン・スポーツ社が制作し、命名した〝商品名〟なのだ。正しくは「ギャップ・ウエッジ」。つまり、「ピッチング」と「サンド」のギャップを埋めるウエッジという意味で、「アプローチ・ウエッジ」とも呼ばれる。ピッチング・サンドのロフトは49~53度で、ピッチングの44~48度と、サンド・ウエッジの56~58度の〝隙間〟をほぼ埋めている。

 ところで、深い大きなバンカーを「アリソン・バンカー」と思っている人も多いが、これも和製用語であり、さらに、ごく限られたゴルフ場のバンカーにだけ使えるものだ。「アリソン・バンカー」の「アリソン」は英国のゴルフ場設計者「チャールズ・アリソン」からとったもの。アリソンは日本のゴルフ草創期に、現在〝名門〟と呼ばれるコースを設計した。代表的なコースは、広野GC、鳴尾GC、茨木CC、東京GC朝霞C、川奈GC富士C、霞ヶ関CC東Cなど。このアリソンが設計したコースは大きくて深いバンカーが印象的だったことから、この名が流布した。しかし、何でもかんでも深くて大きなバンカーが「アリソン・バンカー」ではない。正式には、アリソン設計のコースにだけ言えることだ。それでも、百歩譲って「深くて大きなバンカー」をそう呼んだとしても、海外では全く通じないので、通じなくても、面食らわないように…。

 

 ◇古賀 敬之(こが・たかゆき)
1975年、報知新聞社入社。運動部、野球部、出版部などに所属。運動部ではゴルフとウィンタースポーツを中心に取材。マスターズをはじめ男女、シニアの8大メジャーを取材。冬は、日本がノルディック複合の金メダルを獲得したリレハンメル五輪を取材した。出版部では「報知高校野球」「報知グラフ」編集長などを歴任。北海道生まれ、中央大卒。

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