チャンスだ 初優勝だ 石川遼  武藤のコラム


 米ツアー「ホンダクラシック」は米フロリダのPGAナショナルコース(7140ヤード、パー70)で雷雨中断による5日間のロングトーナメントにようやく幕を下ろした。優勝争いは、アイルランドの43歳、パドレイグ・ハリントンが21歳のダニエル・バーガー(米国)とのプレーオフを制し6年ぶりの優勝を飾った。4戦連続予選落ちの石川遼は、第2ラウンドで65をマーク、今年初の予選突破で久方ぶりに存在感を見せたが、25位だった。

 善戦とたたえるか、ふがいないと決めつけるか、迷うところだ。ホールアウト後、石川は「アイアンだけがよかったのが収穫だが、思っていることができていない。練習場でできていることが本番でできていないもどかしさがある」と唇をかんだ。

 初日、4オーバー74、102位と出おくれた。第2ラウンドを65で取り返し往年の冴えをかいまみせた。しかし、18ホールすべてにウオーターハザードが絡むアメリカンスタイルのコースに5日間、翻弄(ほんろう)されつづけた。ティーショットが左へ、左へと曲がった。水しぶきがあがり、さればと、アイアンでティーショットを試みるが、それもひっかけて池に入れた。苛立ちを抑え、また奮い立たせて果敢に攻める姿には悲壮感が漂った。

 ドライバーショットが思うようにいかなかった。4日間のスタッツを見ると、ドライバーの飛距離、291ヤード。しかし、フェアウエーキープ率は42%と極端に悪かった。雷雨、強風、日程が5日間に及ぶ変則大会と悪条件が重なったが、それだけにティーショットの狂いはスコアを阻む。グリーオン率は59・44%、平均パット数は27・84。“フェアウエーに居さえすればなんとかなったんだよ”、と「データ」がいっている。

 石川は復活きるのだろうか。親指が海に突き出したフロリダ半島の爪の先の開催コースPGAナショナルのタフな試合を見ながらこんなことを考えた。
 コースは設計者ニクラウスが15,16,17の3ホールを改めて手を加え難コースに仕立て直した超の字付きの難コース。特に上りの3ホールは、名付けてベアーズ・トラップ、ニクラウスの罠(わな)のニックネームでタフである。なにしろ2つのパー3と池をショートカットするパー4は池とバンカー、深いラフに囲まれた浮島グリーン。さらに最終ホールはバーディーの出やすいホールを持ってきたが、これも240ヤードをこえる池越えを2オンさせるものだけにバーディーをプレゼントする、意地の悪さである。

 月曜日の最終日。石川は前日サスペンデッドとなった残りホールを11番からスタートすると、12、13番を連続バーディー。15番は60センチにつけるバーディー。続く16番はバーディーを狙いすぎて3パットでボギーとしたが、17番をパーで乗り切ると18番、フェアウエーからのセカンドを池に入れた。やはり「罠」にはまったか、と思われたが、この直後のショットをピンにつけるとワンパットのパーとしたのである。この日、8ホールを2アンダー。目指す米ツアー初Vに向けて、大きな収穫である。そのきっかけとなる月曜日の最終日になった、と見たものである。
 次週、石川は「プエルトリコオープン」。強豪たちは「WGCキャディラックチャンピオンシップ」でしのぎを削っている間にがんばるとき。米初優勝目前、チャンス到来である。

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

最新のカテゴリー記事