畑岡奈紗メジャー自己2番目の3位 武藤一彦のコラム


 日本女子3人目のメジャータイトルを目指した畑岡奈紗(21)は3位の大健闘―。米LPGAツアー・メジャー3戦「全米女子プロプロ選手権」は12日、米ペンシルベニア州のアオニミンクGC(6572ヤード、パー70)で最終日、首位から6打差10位スタートの畑岡は出だし1番の2打目を直接放り込むイーグル発進、一時首位に4打差と迫り、18年大会の2位に次ぐ、3位に食い込んだ。6アンダー64、通算7アンダー。優勝は金セヨン(韓国)で7打差、メジャー初優勝を飾った。メジャー2勝目を目指した渋野日向子(21)は70、通算11オーバーの58位。河本結(22)は9オーバーの48位に終わった。

 

 首位と6打差、10位の畑岡の急追は見事だった。1番、第2打を直接カップインした畑岡は、エースキャディーのグレッグ・ジョンストンと“グータッチ”で波に乗った。3番1メートル半、9番ロングを2メートルとバーディーが来た。インに入って4打差だ。だが、風もなく前日とは打って変わってグリーンも止まり、上位陣にロースコアが目立つと追撃の勢いは止まった。金セヨンに加え韓国の誇る最強のベテラン、ツアー20勝、メジャー7勝のインビー朴までが壁となって畑岡の猛追をかわした。
 17年、プロとなって初めて出場したメジャー、全米女子プロ選手権は、18年は9打差23位の最終日、64のビッグスコアで首位に追いつきプレーオフで2位。メジャー全14度目の今回も偶然とは言えベストの64を記録。ゲンのいい大会と自らにも印象付けて収穫だった。
 「これまではメジャーに合わせ前週の大会は調整に当て本番に全力投入してきたが、今回は前週のショップライト・クラシックからメジャーを意識、1日も気を抜かず気持ちを入れてやってきた」という。コロナによる日程の乱れで貴重な試合を無駄にできない、そんな思いが2週間をワンクールで闘いぬくことにつなげたのが成功したのだろう。決勝ラウンドに入ってからの今回はフェアウエーキープ率が目に見えて上がり、アンフェアとも思える超高速グリーンでこれ以上ないパーセービングパットを次々と決めてしたたかだった。
 シーズンを通し筋力強化をはかり、試合中でも80キロのバーベルを離さないという。メジャー制覇とツアー5勝目に向け戦いは続くが、今季最大の目標は12月10日からの「全米女子オープン」(チャンピオンズGC)だ。日本に一時帰国、国内戦に出場後、再渡米、18年の10位を上回る成績が“ノルマ”となるが、体力と忍耐力にキャリアという経験値の上乗せがある今回は自信をもって臨める。期待したい。

 

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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