ストレートな言葉に胸を打たれた。「自分はゴルフが大好きだし、成し遂げたい目標もある。日々勉強です。学ぶことがたくさんあって、45歳じゃ辞められない。ゴルフだけでなく、人としてレベルアップしていきたい」。先日、新潟で行われたヨネックスレディスで9年ぶり2度目の優勝を飾った大山志保の優勝インタビューでの言葉だ。
38歳のベテランはこれがツアー16勝目。「ここ2、3年は自分(自身)がコーチみたい」と語る。どんなプロにだってショットもパットも思い通りにならない“スランプ”はやってくる。だが大山は「調子が悪くて『もうゴルフ辞めたい』って思っても、寝て次の日起きると『こんなショットを試してみよう』ってアイディアがひらめく」という。大好物のスイーツを今年の正月から断ったエピソードは紙面で紹介したが、これだけ実績を重ねてもさらに上を目指そうとする向上心に驚かされた。
会見の最中、「優勝したから今日は甘いものを食べる?」と聞かれ「イチゴ少なめで生クリームたっぷりのケーキをホールで食べたい」と目を輝かせた時は思わず記者も笑ってしまった。ゴルフにストイックに向き合う姿勢と飾らない人柄が魅力のベテラン。目標に掲げるリオ五輪出場に向け、若手に負けないさらなる輝きを見せてくれると信じている。(武藤 瑞基)
◇武藤 瑞基(むとう・みずき)
静岡県生まれ。静岡大卒業後、2009年に報知新聞社入社。2年目に担当したプロ野球のロッテがいきなり日本一になり、静岡支局時代は磐田がJ2に降格するなど 嵐を呼ぶ 男。15年からゴルフ担当。