注目の「ソニー・オープン・イン・ハワイ」はアルゼンチンの37歳ベテラン、ゴメスがタイトルさらう。アンカリング疑惑も飛び出した 武藤のコラム


 日本選手7人が参加した米ツアー「ソニー・オープン・イン・ハワイ」はオアフ島ホノルル郊外のワイアラエCC(パー70)で行われプレーオフの末、ファビアン・ゴンザレス(アルゼンチン)が優勝した。下部ツアー、ウエブドットコムの常連から2015年にPGAツアーで初優勝したゴンザレスは最終日、6番から12番までの7ホールを連続バーディーの猛攻、8アンダー62のベストスコアをマーク通算20アンダーとしブラント・スネデカー(米)に並びプレーオフを制した。

 日本勢は、第3日65、11アンダー、首位から5打差6位の片岡大育に期待が集まったが、1イーグル3ボギー71、通算10アンダーとスコアを落とし33位に終わった。

 米ツアー初参戦でトップ10入りを目指したが、「世界最強のツアーで自分の力を試せたので満足している。最終日でピンの位置が振られるとチャンスがなく苦しんだ。チャンスを作った後のパットが全く入らなかったことも反省材料。この経験を糧にしてまた精進していきたい」と悪びれなかった。プロ10年、27歳。アジアンツアーに積極的に挑み続け力をつけた。将来を見据えた戦いぶりに好感が持てた。

出た、アンカリング疑惑

 3位と健闘したアメリカの若手、ザック・ブレアに今年から禁止されたアンカリング疑惑が発覚した。最終日。ブレアがグリーンエッジからピンまで約15ヤードのアプローチにウッドクラブを使ったときフォローでグリップエンドがウエアに明らかに触れていたのを指摘されたものだ。テレビに映し出された映像では完全に衣服に触れており、支点を体の一部に作ってショットしているといわれてもしかたがないようなシーン。しかし、確認した競技委員は「アンカリングで打とうと初めから意図して打っていたものではない。ショットしたのちに衣服にグリップエンドが触ってしまった。問題はなかった」と裁定、問題なしとされた。

 アンカリングの禁止は1年余の猶予を経て今年1月1日をもって禁止と決まり注目されていた。今年に入って2戦目の「ソニーオープン・ハワイ」ではアダム・スコットやウェブ・シンプソンらかつての長尺使用選手はいずれもアンカリングなしのスタイルでプレー。仮に長尺を使用してもアンカリングしなければいいが、さすがに姿を消していた。また中尺使用者は腕に添ってシャフトを握る“アームロック打法”で対応していた。しかし、今回のような“まぎらわしいケース”はこれからもひきを切らないとみられる。例えば木立を背にしたり、池などのペナルティーゾーン近くではグリップエンドが体のどこかに触れるケースはどうしても生まれるからだ。選手同士のクレームや観客、そしてテレビ視聴者からの指摘はトーナメントでは日常茶飯事となっている。ちなみに違反した場合、ゴルフ規則14の1、「球を正しく打つこと」の違反で、マッチプレーでは、そのホールの負け。ストロークでは2打の罰となる。

 

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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