松山上々のスタートに期待する。昨年の優勝者だけ34人の大会で松山4位は期待通りの活躍だ 武藤一彦のコラム


 昨シーズンの米男子ツアーのチャンピオン34人が出場した2018年シーズン最初の「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」は7日、ハワイ・マウイ島のカパルア・プランテーションコース(7452ヤード、パー73)で行われ、松山英樹は4位に食い込んだ。優勝は世界ランク1位のダスティン・ジョンソン(米)が8アンダー65のベストスコアから通算24アンダー、2位に8打差をつけ圧勝。だが、松山も1イーグル、5バーディー、この日、2番目となる66をマーク、9位からトップ5入り、存在感を示した。

 

 1953年創設、ニクラウス、トム・ワトソンらレジェンドをはじめタイガー、最近ではスピースの名前も歴代優勝者に並んだ伝統の大会。松山は出遅れて苦戦した。第3ラウンドは特にアプローチとパットに精彩を欠いた。ショートアプローチが寄らず、ボギーが多かった。「パットがいいところが全くなかった」と嘆いたが、好調だった過去2年のゴルフでは見られない“スキの多さ”に危機感を抱かせた。

 

 だが、この日、15番パー5で5メートルに2オン、イーグルを決めると、16番は60センチ、17番は3メートルと連続バーディー、この時点で単独3位と最終日に強い松山の本領を発揮した。

 

 「ドライバーショットとパット以外は良くなった。アイアンが思いどおりに打てた。パットはミスパットでバーディーをのがしたホールもあったが、いいフィーリングがでている」と表情は明るかった。

 

 アイアンショットが強風の中でコントロールできたのが収穫だった。反省が多く、聞くものに息苦しさを感じさせるほどの完全主義者。今大会直前、今季の抱負に「結果より自分のゴルフの内容を高めること」をあげ「ティーショットとショートゲームの精度を高めたい」と課題を掲げていた。世界ランク5位という世界の頂点を極め、目指すは、メジャータイトル。今大会の収穫を挙げるなら、曇りのち晴れ。曇りは、ここのところ目につく出遅れ癖。晴れは、松山の生命線である、必ず上位を極める最終日の粘り腰。新年早々、持ち味をしっかり見せて、頼もしい。
 次戦は2週休んで米男子プロツアー本土西海岸での「ファーマーズ・インシュランス・オープン」に期待が高まる。

 

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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