日本ツアーの最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」(11月29~12月2日・東京よみうりCC)で、小平智が3人プレーオフを制し初優勝を飾った。4月の米ツアー「RBCヘリテージ」で、日本人5人目の優勝をはたし成長ぶりをアピールしたが、日本シリーズに勝ち、これで日本ツアー選手権、日本オープンに次いでメジャー3冠を達成した。
通算8アンダーで並んだプレーオフは石川遼、黄ジュンゴン(韓国)と、大会史上最多の3人が名物ホールの18番パー3で争わった。その第1ホール、最初に打った石川のショットはグリーンをとらえ10メートル、2番目の小平はその内側5メートルにつけ、石川の下り傾斜、大きなスライスラインは大きくカップをそれ、小平は1メートル半。石川が外したあと、小平は上りスライスをしっかり打ち真ん中から入れた。韓国の若手26歳の黄はバンカーからよらずボギーだった。
シリーズ出場枠ぎりぎりの賞金ランクから出場した石川がカムバック優勝をかけ大会を終始、盛り上げた。最終日は1番いきなりダブルボギーとしながら7つのバーディーを奪取、プレーオフへ。だが、小平の勢いが上回った。
小平は、首位から4打遅れの2アンダー11位スタートの4番でチップインバーディー、6番パー5は215ヤードを5アイアンで2メートルに2オンのイーグル。9、11番のタフなパー4、17番パー5でバーディーとノーボギーの完璧な内容、64のベストスコアの猛攻でプレーオフに臨んだ。
4月、マスターズに初出場して28位、翌週の「RBCヘリテージ」で最終日6打差を逆転優勝、ツアー参戦15戦目の優勝は、松山英樹の26戦目を上回る日本人最速記録を上回った。
思い切りが良く、攻撃的なゴルフが持ち味。だが、優勝後は成績が上がらず夏以降連続予選落ちなどを繰り返し苦しんだ。「米ツアーで予選落ちすると孤独でどんどん悲観的になった。練習場でただ一人球を打つことだけの生活だった」という。今大会は第1日、2位スタートを切りながら2日目74、14位と大きく後退した。しかし、「まだあと2日ある。勝負はこれからです」と決して捨てていなかった。信条のあくなき闘争心が生きた。見事なカムバックだった。自信になっただろう。
東京・駒場学園高時代から頭角を現したジュニア選手。日大に進学、日本アマで2位のあとプロをめざし2年で中退、プロ入りした。29歳。今回、賞金王には26歳の今平周吾が獲得賞金1億3911万円で戴冠。20代プレーヤーが大活躍のシーズンだったが、出場30人中、14人が20代。
ジュニアといえば15歳でプロツアーに優勝した石川が先頭に立って引っ張り、同年の松山英樹が米ツアーで大活躍、いままた今平が賞金王と存在感。しかし、その中で20代最後の最年長、29歳の小平が一気に存在感となった。日本ツアーが厚みを増した。石川の復活も今回の活躍で、見えてきたし日本選手の内外での一層の活躍に期待が持てる2019年が楽しみだ。