タイガーも認めた「ケプカ時代」が始まった 武藤一彦のコラム


 PGAツアー今季メジャー第2戦、「全米プロ選手権」は18日、ニューヨーク州のベスページ州立公園内のブラックコース(7459ヤード、パー70)で最終ラウンドを行い、初日から首位の29歳、ブルックス・ケプカ(米)が8アンダーで逃げ切り、大会2連覇を達成した。ツアー通算6勝目。メジャーは昨年まで2連勝の全米オープンとあわせ4勝と公式戦の優勝が上回った。2位は2打差でダスティン・ジョンソン(米)。この結果、世界ランキング3位のケプカが首位に躍進した。首位から8打差ながら6位と健闘していた松山英樹は77とスコアを落とし3オーバーの16位とトップ10入りを逃した。

 

 公園内に5コースがあるパブリックコースの内、4番目のべスページ・ブラックコースは02年、09年と全米オープンの舞台。1920年代に活躍したA・W・ティリングハースト設計、リース・ジョーンズ改修の難コース。最終日は強風が吹き難度がさらに増した。首位のケプカは初日63、2日目65と全米プロ史上最少記録で飛び出しこの日は2位に7打差のスタート。だが、インに入って11番から4連続ボギーで前を行くジョンソンと1打差、17番では3パットで逆転かとコースはざわついた。だが、ジョンソンが16、17番とボギー。大事に至らなかった。

 

 最終日は4オーバー74とスコアを伸ばせなかったが、グリーンを外したのが第1ラウンド3ホール、2日目4、3日目3とショットが冴えた。ドライバーショットが深いラフにつかまっても持ち前のパワーで次々とグリーンをとらえた。

 

 その点大会2日目で予選落ちしたタイガーとは対照的だった。マスターズチャンピオンに43歳で復帰、期待のタイガーだったが、ドライバーを曲げ、ラフに行くことが多くいいところなく終わった。予選2日間をケプカと同組。彼我のパワーの差を見せつけられたと肩を落とした。
 「(初日、2日の)ケプカのパットはすばらしかったが、300ヤードドライブが支えとなっていた。難コースで曲がったとしても戦略的に正しい方向に行く球はリカバリーが効く。この2日間の自分のゴルフにはちょっとがっかりしている。43歳だが、トレーニングをし、ショットのヘッドスピードを上げてカムバックをめざすが」とため息をついた。珍しく弱気だったように見えた。

 

 予選ラウンド。タイガーも300ヤードを越えていたが、ケプカのドライバーはさらに10ヤードから15ヤード先に飛んでいた。

 

 ケプカのパワーゴルフが勢いをつけた難コースの戦いだった。6月の全米オープンでは3連覇がかかる。勝てば、今回の全米プロを合わせ“全米”とタイトルがつく伝統の大会5連覇。史上初の快挙である。ジョンソンから世界ランクトップの座を奪ってケプカ時代が始まった。

 

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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