ZOZOチャンピオンシップ 武藤一彦のコラム


 ツアーナウZOZOチャンピオンシップ

 

 日本で初めて行われた米ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」は28日、千葉・習志野CC(7041ヤード、パー70)で最終ラウンドの残りホールを争いタイガー・ウッズ(米)が67、通算19アンダーで逃げ切り、PGAツアーの最多優勝記録、サム・スニード(米)の持つ82勝に並んだ。タイガーはこの日、残り7ホールを2バーディー、1ボギー、2位の松山英樹に一時、2打差まで詰め寄られたが、逃げ切った。
 悪天候で月曜日まで日程がずれ込む変則開催の中、2位には松山が食い込んだ。最後まで逆転優勝に期待を残し、67、通算16アンダーの単独2位は日本のエースとして存在感があった。米ツアー6勝目は逃したものの世界ツアーに先駆け、一足早く、19-20年シーズンが開幕しており、悲願のメジャー制覇も引き寄せた。8月にはいよいよ東京五輪、金メダルの期待も高まった。

 

 タイガー、82勝を日本で達成。この快挙をだれが予想しただろうか。4月のマスターズでメジャー11年ぶりに優勝し復活を華々しく飾ったが、その後ひざの故障が再発、手術を受け2か月もツアーから姿を消した。練習ラウンドのグリーン上、球をマークするとき「こうやってひざを曲げてマークできることがなによりうれしい」と喜んでいた。「ゴルフをやる喜びが支えになっている」―
 見事な復活劇だった。日本初の米ツアー。8万枚のチケットは完売。第3ラウンドには2万人が詰めかける中、“虎”は本来の姿をよみがえらせた。
 前日の残りホールを含め1日27ホールのラウンドは43歳のベテランには応えたか。この日の再開スタートホールの12番。タイガーの第2打は深く芝を削りバンカーへ、そこから寄せきれずボギーと最悪のスタート。13番も2メートルのバーディーパットを外し暗雲が漂った。ポケットに両手を突っ込み、暖を取るタイガー。だが、14番だ。6メートルのバーディーパットをど真ん中から入れて18アンダー。前の組の松山が16番、下りの6メートルを、歯を食いしばってバーディーとしていただけに結果的にウイニングパットとなった。

 

 松山の復活は日本にとって何よりうれしい収穫となるだろう。日曜日の終盤のショットの乱れ。最終日、14番、1メートル強のバーディーパットを入れられない甘さがありながら、堂々の単独2位である。アメリカにわたって6年連続してツアー選手権出場の活躍、その強さが、改めて確認できた。

 

 米ツアーの日本侵略。韓国、日本、そして次週は中国へ。高額賞金と26人のメジャーチャンピオンを注ぎ込んだ米ツアーのアジア戦略に、危機感を持ってみていたが、タイガーと松山が優勝争いを繰り広げた米ツアーが日本ツアーに活を入れてくれた。タイガーだけではなく日本、そして日本のエースもよみがえった、と素直に受け止めて今後に期待する。

 

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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