じっくり力をためればいい 畑岡奈紗プレーオフを失う 武藤一彦のコラム


 畑岡奈紗(21)の米女子プロツアーの開幕戦優勝はならなかった。通算13アンダーで3人が並んだ「トーナメント・オブ・チャンピオンズ」のプレーオフは、現地20日午前8時から米フロリダのフォーシーズン・ゴルフ&スポーツクラブ・オーランド(パー71)で前日に日没となったプレーオフの残りホールを再開、畑岡は7ホール目、メキシコのギャビー・ロペスに7ホール目で敗れ2位に終わった。19日の最終日、畑岡、ロペスに韓国の朴仁姫の3人が並んだサドンデス・プレーオフは3ホール目、朴が脱落し5ホール目を終え日没で持ち越しとなっていた。

 

 プレーオフの7ホール目。ロペスが7メートルのバーディーパットを決めた後、畑岡の3メートルのバーディーパットは左カップに外れ、7ホールに及ぶ死闘は決着となった。前日、3打差を追いつき残ったチャンス、2日がかりの死闘。
 「残念だが、やるだけはやった。決めたかったパットだったが、いい経験になった。次につなげたい」と健気に振り返った。
 プレーオフ3連敗。2018年の「キングスミル選手権」は3人プレーオフの2ホール目、同年7月の「全米女子プロ選手権」は韓国勢との3人プレーオフは1ホール目に脱落した。悔しいが、確かな手ごたえを受け止めるしかなかった。これが勝負の世界だ。
 大会を振り返り次を目指す。「ショートパットの決め所でもったいないミスを外すことが多かったが、最終日の優勝争いでは勝負どころで我慢できた」と手ごたえがあった。米ツアー1年ぶりの4勝目は逃したが、昨シーズン終盤のショットの不安定さは完全に姿を消し「粘り強いゴルフができるように、なってきた」と前を向いた。オフには上半身を強化、体はとひと回り大きくなりショットの切れが増した。
 この日、世界ランキングが更新され畑岡は6位から5位へとアップした。米ツアー4勝目、開幕戦優勝を逃しながら日本のエースは着実に進歩した。自国開催の五輪イヤー、日本期待の星の足取りには微塵の乱れもない。敗れて大きな一歩。ゆっくりと力をためればいい。

 

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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