ルールミスで勢い止めた宮里美香 武藤のコラム


米女子ツアーの「JTBCファウンダースカップ」(米アリゾナ・フェニックス)で宮里美香が手痛いルールミスに泣いた。よくあるグリーン周りの処置ミスだった。ラウンドでちょくちょくあるケース。役立つので、美香プロには気の毒だが、取り上げた。

 第3ラウンドの13番ホール。美香の球はグリーンそばのスプリンクラーヘッドに“カップイン”した。美香は規定によりボールを拾い上げ、スプリンクラーとカップを結ぶ後方線上、約30センチにドロップしたまでは良かったが、傾斜だったためボールがさらに右後方に1メートルほど転がって止まると、ボールを拾いもう一度、ドロップをやり直した。

 同組のマーカー役の選手が「ノー!」と制止したが、遅かった。ドロップしたボールは1メートルほど転がって止まったのだからその時点でインプレーとなる。インプレーの球を動かしたので2打罰となった。ドロップの処置としてはボールが2メートル以上転がったときは2度目のドロップを行うのだが、ボールは1メートル転がっただけ。2メートル以内の今回の場合、球が止まったところからプレーを再開するべきだったのだ。

 美香の「完全な思い違いのミス」。よくあるケースだ。カート道の救済のケースでは落下点を外れワンクラブレングス以上転がると再ドロップしなければならない。グリーン周りのスプリンクラーは、「パッティンググリーンに近接する動かせない障害物」に準じたローカルルールとしての救済措置となる。間違えやすい。

 大会は韓国の19歳、キム・ヒョージュが優勝、宮里藍が66の好スコアで17位と今季最高位。ようやくショットの感覚が戻り、パットも良くなって巻き返しの気配だ。“ポカの美香ちゃん”はそれでも37位だったからこれも上昇気配。野村敏京は24位、上原彩子45位。がんばれ、やまとなでしこ!

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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