畑岡の米ツアー4勝目はプレーオフへ 武藤一彦のコラム


 米女子プロツアーの今季開幕戦「ダイヤモンド・リゾーツ・トーナメント・チャンピオンズ」で畑岡奈紗(20)=森ビル=が米ツアー4勝目に向け王手。フロリダ州レークブエナビスタのフォーシーズンゴルフ&スポーツオーランド(パー71)で行われた最終日、首位と3打差の3位スタートの畑岡は3アンダー68、通算13アンダー、首位の朴仁姫(韓国)ギャビー・ロペス(メキシコ)と並び3人プレーオフに臨んだが、5ホールを終えても決着がつかず、プレーオフは19日に持ち越された。

 

 3人によるプレーオフは池の絡む18番、パー3で終始行われ、3ホール目にツアー9勝の朴が脱落、メキシコのロペスと争われたが、5ホールを終えて日没順延。翌19日に持ち越された。
 左サイドが池のパー3、プレーオフは187ヤードで行われた。最初に脱落したのはツアー19勝のベテラン、韓国の朴が3ホール目にグリーン左の池に打ち込み自滅した。リオデジャネイロ五輪金メダリスト。東京五輪で2連覇を狙う本命だが、韓国内の代表権争いはし烈、朴には痛い撤退となった。

 

 米ツアー4勝目を狙う畑岡、2勝目がチャンスのロペスのプレーオフ4ホール目、ロペスがハイブリッドの3番で7メートルのバーディーチャンス。畑岡はハイブリッドの4番でグリーン手前11メートル。畑岡は、パターで寄せパー。ロペスはバーディーチャンスだったが、球はカップ横を通過した。
 ドローが持ち球の畑岡とフェードのロペス。持ち球もタイプも違う二人の争い。4ホール目が終わったとき競技委員が歩み寄りプレー続行の判断を二人にゆだねたが、ともに“決着をつけたい”と5ホール目へ。ともに前向きの20歳代だが、気温が下がり、闇も急速に迫った。一晩おいての史上まれにみる激戦は翌朝に順延となった。

 

 トップをいくベテランの朴がパープレーと足踏みした最終日。畑岡は4バーディー、1ボギーで追いついた。今大会はショートパットに苦しんだが、第3日の終盤になって不安は解消された。「難しい1、2メートルが入った。バーディーパットが入ると嬉しいが、微妙なパーパットを入れると違った充実感がある」とプレーに迷いがなくなって好感が持てる。この日のプレーオフ2ホール目では2メートル半を入れ、しぶくとくパーを拾った。グリーン上、10代の頃の歯切れの良いクロスハンドのパッティングが戻って、頼もしい。

 

 昨年4月、カリフォルニア州カールスバッドの「起亜クラシック」以来のツアー4勝目。日本のメジャー優勝を足場に「全英女子オープン」を勝った渋野日向子に追い上げられた昨年だったが、アマで日本オープンを制し、世界に羽ばたいた“本家”である。ここは頑張りどころ。勝てば記念すべき米ツアー開幕戦優勝と3年連続の米ツアー優勝の金字塔と“偉業の一人占め”。渋野に続く目指すメジャー優勝の夢も一層近づく。ひと晩置いた長~プレーオフ勝利は人生最大の山場である。

 

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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