松山、6勝目間近!2週連続、今季4回目のトップ10入り 武藤一彦のコラム


 松山英樹の米ツアー6勝目は、またもお預け。メキシコのチャプルデケプGC(7336ヤード4、パー71)で行われた「WGCメキシコ・チャンピオンシップ」は3年シード権をかけた世界ゴルフ選手権シリーズとして2300メートルの高地・メキシコで行われ昨年のマスターズチャンピオン、パトリック・リード(米)が通算18アンダーで優勝。松山は4アンダー67、通算13アンダーの6位だった。日本から出場の賞金王、今平周吾は61位。米ツアー3年ぶり出場の石川遼は68位に終わった。米ツアーは次週から4週間のフロリダシリーズに突入する。

 

 前週「ザ・ジェネシス招待」に次いで今季、トップ10入り4度目の松山の健闘が光った。前半は1バーディー、1ボギーもバックナインに入ると11、12、14番とバーディーを決め、15番パー5で2オンに失敗、林に入れるボギーはいただけなかったが、17番で20メートルのバーディーパットを決めるなど5バーディー、一気にトップ10入りを果たした。
 メキシコ市郊外、標高2300メートルのコースは、富士山五合目に相当する世界屈指の高地コース。気圧が低く、球は平地の2割り方飛び距離をあわせにくく、南国のきつい芝目、乾燥した堅いグリーンが選手を苦しめた。松山は第2ラウンドで64、そして最終日67と粘った。前週、ロサンゼルスの「ザ・ジェネシス」は予選通過ラインぎりぎりから追い上げ5位に食い込んだ回復力は、明らかに自信となった。

 

 「何度もショートパットを外す、もったいないグリーン上と時々出る気の抜けたアイアンショットなど大きなミスが何回かあった。もう少しかな?」とホールアウト後のインタビュー、明らかに優勝までもう少し、と力んだ。焦っていない。表情から硬さが消えいい兆候だ。
 ちょっと気がかりはパットだろう。前週に続き、今週も1,2メートルのショートパットを1ラウンドで3、4回と外した。「それがゴルフ」とあきらめるには本当にもったいなかった。マレットタイプのパターに代え6ラウンドをこなしたが、本来は“ピンタイプが命”のピンパター派。エースパターへの復活が6勝目へのカギだろう。
 本人も自覚しているようだ。ホールアウト後、「難しいアプローチやショートパットもいつかは入るときがくる。いまやっている我慢を繰り返す。そこが大事なことと決め辛抱していれば、ね」と語尾を飲み込んだ。我慢してあきらめずにやればきっと活路がある、と分かっているのだ。フロリダシリーズは27日からの「ホンダクラシック」3月には「ザ・プレーヤー選手権」など4戦だ。

 

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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