日本女子ツアー「アース・モンダミンカップ」で大英断の開幕 武藤一彦のコラム


 国内女子ツアー「アース・モンダミンカップ」が6月25日から千葉・カメリアヒルズCCで開幕する。新型コロナ禍の影響で中止が相次ぐスポーツ界だが、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)と主催者は、「選手の活動の場確保」の見地から開催に踏み切った。大会には畑岡奈紗、渋野日向子、原英莉花ら外国勢を除くほとんどが出場する。無観客、帯同するコーチ、トレーナーら、スタッフ、家族も来場不可。テレビ中継もなしで大会の模様はインターネット中継だけとなる。

 

 新型ウイルスの感染拡大を受け、安全確保を第一とすればスポーツをするどころではない。本来、健康産業であるスポーツがウイルスにその使命を阻まれもだえ苦しむなか、注目の決断だった。
 女子国内ツアーは37戦の内、20戦が中止(6月15日現在)、主催のJLPGAは、すでに今季の残り試合と来シーズンを統合した「2年1シーズンの長期ツアー」構想を発表、今後の対応策としたが、7月以降の競技については大会主催者が開催か否かの判断に迷うなどツアー存続にまだまだ問題点は多い。

 

 関係者によると「開催に踏み切った最大の理由は、スポンサーの意向が大きく影響した」といわれる。「出場最大幅の144人のフルメンバーが4日間で争う、女子ツアー最大の大会にしたのはできるだけ多くの選手にチャンスを与えたいという主催者の強い意見があった」と関係者が明かしている。「144人の生活と夢をこわしてはいけない。コロナが沈静化に向かう中、いまこそスポーツの出番でないか」―開催に踏み切った会議ではそんな意見も出たようだ。

 

 4日間72ホールのメジャー並みのスケール。賞金総額2億4000万円、優勝賞金3600万円の最高額大会は、世界規模の大会で世界に追いつこうとするJLPGAとそれを支援するスポンサーの意向が合致して誕生したとう経緯がある。かつて女子競技は3日間54ホール、4日間競技は、一昨年までは4公式戦など数試合、それが今季は14戦を数えていた。畑岡、渋野らの黄金世代、その下のプラチナ世代と一気に若返った女子プロ界元気がウイルス撲滅につながるか。注目だ。

 

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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