悔しさをバネに渋野日向子、再始動 武藤一彦のコラム


 女子の今季メジャー第3戦、全米女子プロ選手権は27日、米ジョージア州のアトランタ・アスレチッククラブ(パー72)で最終ラウンドが行われ前日68位だった渋野日向子は67,通算1オーバーの40位に終わった。ネリー・コルダとリゼット・サラス(ともに米)の優勝争いはコルダが68,通算スコアを19アンダーと伸ばしサラスに3打差をつけメジャー初優勝を飾った。ツアー2週連続で今季3勝目(通算6勝)、ワールドランキングで首位に立った。全米女子オープン優勝の笹生優花は67、通算3アンダーで21位だった。

 

 コルダ姉妹の妹のネリーとサラスの米国勢が最終組でマッチプレーのような激しい優勝争い。280ヤードのドライバーショットから2イーグルを決めたネリー,4日間わずか2ボギーの手堅いサラスの争いは3打差で決着し、3年ぶりに米国勢がメジャータイトルを獲得した。コルダ姉妹は姉のジェシカも今季優勝しており東京五輪の優勝候補に名乗りを上げた。

 

 渋野の東京五輪の夢は実らなかった。第2ラウンド終了後、日本から帯同したキャディーが新型コロナウイルス検査で陽性と判定され、幸い陰性だった渋野はプレーを許されたものの,地元キャディーとの息が合わず第3ラウンド17番パー3で池に4発打ちこむ10の大たたき。5位以内ならすでに五輪代表を決めている畑岡奈紗に続く2枠目に希望を持っていたが、その時点で五輪の2枠目は遠のいた。ショックだった。
 一昨年の全英オープンで優勝、一躍日本のトップランカーとなったが、コロナ禍で五輪が1年後に延期されるなど予期せぬ事態にゴルフの調子が下降した。東京五輪代表は国内で頑張った稲見萌寧へ。
 ホールアウト後、号泣した第3ラウンド。だが、この日は67、「悔しいことはたくさんあったけど、自分らしさがとりもどせた週だった」とこの日のホールアウト後は明るかった。
 コロナに翻弄された2年間だった。コーチを代えスイングを変えた。国内を飛び出し世界へ飛躍を求めた。独特の大きなスイングをフラットなコンパクトスイングへ。今後は日本で3戦。そのあと、思い出の全英オープンがある。「世界を視野に戦うと決めた。環境に慣れることの大事さを知った以上、こっちで今の時代に合ったゴルフを身につけたい」―こっちとは、言わずもがな、海外である。シンデレラは身の丈、足の大きさに合ったシューズに履き替えて本格始動した。

 

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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