渋野復活の兆し、古江ら日本勢、世界制覇へ 武藤一彦のコラム


 米女子ゴルフツアーの今季メジャー最終戦、AIG全英女子オープンは英・スコットランドのカーヌスティーゴルフリンクス(6850ヤード、パー72)で行われ、スウェーデンのアンナ・ノルドビクスが69、通算12アンダーで優勝、メジャー3勝目を挙げた。2位はジョージア・ホール、マデリーン・サグストロムらが入り北欧勢が活躍した。日本は、初出場の古江彩佳が5アンダーの20位、畑岡奈紗は3アンダーの26位。渋野日向子は1アンダー34位。日本国籍を持つ今季の全米オープンチャンピオンの笹生優花は今回もフィリピン国籍で出場イーブンパーの39位と健闘した。

 

 渋野は1,2番をバーディーとする好スタートを切りながら3,5番ダブルボギー、6,8番ボギーと後退した。天気に例えるなら晴れのち曇りの最終日だった。「好スタートを切りながら崩れ、また粘るアップダウンのゴルフ。いい経験をした。この調子で今後も頑張るメドがついたということになるのでしょうね」とホールアウト後は苦笑い。
 19年、初出場で初優勝の快挙。最終ホールで7メートルのバーディーパットをねじ込み“スマイル・シンデレラ”と呼ばれた。が、翌年は予選落ち、復活をかけスイング改造までしてかけた今回だった。第3日、1,4,7番バーディー、一時は単独首位に立った。14番から4連続ボギーで急降下してしまったが、渋野には、明るい場所がよく似合う。良い流れを作るのだが、流れにのりきれない。解決策を探る、もどかしい日々に懸ける今後に光明が見えた。
 古江は1ヶ月にわたる、初のヨーロッパ遠征でメジャー4戦目のエビアン選手権4位。今週は日本人最高の20位に入って大健闘だ。安定したショットと強気のパットはリンクスを中心としたゴルフ発祥の英国ゴルフに“似合って”いた。世界ランキング首位で五輪金メダリストのN・コルダ、トンプソンの米国勢ら、180センチ級の大柄なパワーゴルフ相手に一歩も引けを取らないゴルフは見事だった。畑岡、笹生に加え日本女子は稲見萌寧、小祝さくららもいてこれまで見られなかった層の厚さ。今後の世界女子プロゴルフ界の台風の目となる予感がある。

 

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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